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もみじとかえで | 赤犬赤猫

赤犬赤猫小説|プロローグ ― ぼくらの一票が、誰かの明日につながるなら ―

夏の朝。
窓の外では、セミたちが「今日も暑くなるぞー!」と言わんばかりに鳴いていた。

赤い毛並みの猫、もみじは、まだ少し眠そうな顔で窓辺に座っている。
その横を、赤い犬のかえでが勢いよく駆けていった。

🐶「もみじーーー! 大変だーーー!」

🐱「朝からうるさいにゃ……。今度は何にゃ?」

🐶「ぼくたち、ゆるバースに出るんだって!」

🐱「……ゆるバース?」
もみじは、ぱちぱちと目を瞬かせた。
「それって、おいしいの?」

🐶「食べものじゃないよ!」
かえでは得意げに胸を張った。

全国からたくさんのキャラクターたちが集まり、応援してくれる人たちの一票を受けながら、それぞれの地域や活動の魅力を伝えていく――。
それが「ゆるバース」。
だけど。
もみじとかえでが、この大きな舞台に挑戦する理由は、ただ順位を競うためではなかった。

二匹には、どうしても伝えたいことがあった。

今もどこかで、新しい家族を待っている犬や猫がいること。

保護犬や保護猫のために、毎日活動している人たちがいること。

そして、
「かわいそうだから助ける」だけではなく、
犬も猫も、人も。
一緒に楽しく暮らしながら、笑顔になれる未来をつくれるということ。
「でもさ、もみじ」

かえでが少し不安そうに言った。
🐶「ぼくたち、まだそんなに有名じゃないよ?」

🐱「そうにゃ」

🐶「すごいキャラクターが、いっぱいいるんでしょ?」

🐱「いるにゃ」

🐶「じゃあ……勝てるかな?」

もみじは少し考えてから、しっぽをゆっくり揺らした。
🐱「知らないにゃ」

🐶「ええっ!?」

🐱「でも、最初からみんなに知られている必要なんてないにゃ」
もみじは窓の外を見た。
「一人が知ってくれて、その人がもう一人に話してくれて、その人がまた誰かに話してくれたら――」

かえでの耳が、ぴんっと立つ。
🐶「仲間が増える!」

🐱「そういうことにゃ」
ゆるバースへの挑戦。

それは、もみじとかえでにとって、
ただの人気投票ではない。

まだ自分たちを知らない人に出会う旅。
保護犬・保護猫のことを知ってもらう旅。
そして、小さな応援を、大きな力へと変えていく旅だった。

2026年8月1日。
エントリーNo.214。
赤猫の「もみじ」と、赤犬の「かえで」。

二匹の、長い夏が始まる。
🐶「よーし! もみじ、行くよ!」

🐱「どこに?」

🐶「とりあえず、みんなに投票お願いしに行く!」

🐱「作戦が雑すぎるにゃ……」

そう言いながらも、
もみじは、かえでのあとを追いかけた。

このとき二匹は、まだ知らなかった。
嬉しい一票も。
思うように伸びない順位も。
思いがけない応援も。
新しく出会う仲間たちも。
そして、この挑戦の先に待っている景色も。
全部ひっくるめて、
忘れられない夏になることを。

――これは、
赤犬かえでと、赤猫もみじが、
「応援するって、なんだろう?」
を探しながら走り続けた、
ひと夏の挑戦の物語。