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もみじとかえで | 赤犬赤猫
赤犬赤猫小説|DAY1 はじまりの日
2026年8月1日。
ついに、その日がやってきた。
🐶「もみじー! 起きて起きて!」
朝から元気いっぱいのかえでが、部屋の中を走り回っている。
🐱「もう起きてるにゃ……」
もみじは、少し眠そうに目をこすった。
🐶「今日からだよ! ゆるバース2026!」
🐱「分かってるにゃ」
🐶「エントリーNo.214! もみじとかえで!」
🐱「それも昨日から何回も聞いたにゃ」
かえではそんなことも気にせず、胸を張った。
今日から始まるのは、全国のキャラクターたちが挑戦する「ゆるバース2026」。
そして、もみじとかえでにとっては初日。
ゼロから始まる一日だった。
まだ、どれくらいの人が自分たちを知っているのかも分からない。
どれくらい投票してもらえるのかも分からない。
もちろん、順位だって分からない。
分からないことだらけだ。
🐶「ねえ、もみじ」
さっきまで騒いでいたかえでが、少しだけ静かになった。
「誰も投票してくれなかったら、どうしよう」
もみじは、かえでの顔を見た。
🐱「そのときは、一人目を探しに行けばいいにゃ」
🐶「一人目?」
🐱「そうにゃ。最初から100人に応援してもらおうとするから怖くなるにゃ」
もみじは言った。
「まず一人に知ってもらう。一人が応援してくれたら、その一票をちゃんと喜ぶ。それでいいにゃ」
かえでは少し考えてから、
🐶「じゃあ、最初の一人を探しに行こう!」
と、また勢いよく立ち上がった。
🐱「結局走るんかいにゃ」
二匹は、さっそくみんなに伝え始めた。
🐶「ぼくたち、ゆるバースに挑戦します!」
🐱「毎日投票できるにゃ!」
🐶「エントリーNo.214だよ!」
🐱「忘れないでにゃ!」
最初は、少し恥ずかしかった。
お願いすることは、思っていたより勇気がいる。
「応援してください」と言うことは、
自分たちの想いを誰かに預けることでもあるからだ。
けれど――
「投票したよ!」
そんな言葉が、ひとつ届いた。
🐶「……!」
かえでの顔がぱっと明るくなる。
🐶「もみじ! 一票入った!」
🐱「よかったにゃ」
また一つ。
「応援してるよ!」
そして、また一つ。
「明日も投票するね」
まだ大きな数字ではない。
それでも二匹にとっては、どの一票も同じ重さだった。
画面の向こうにいる誰かが、
時間を使って、
もみじとかえでを選んでくれた証だから。
🐶「ねえ、もみじ」
🐱「なんにゃ?」
🐶「一票って、数字じゃないんだね」
もみじは少し笑った。
🐱「やっと気づいたにゃ」
一票の向こうには、一人の人がいる。
その一人が、もしかしたら今日初めて、
「保護犬」
「保護猫」
という言葉を知ってくれたかもしれない。
もみじとかえでが目指しているのは、
順位だけではない。
この挑戦をきっかけに、
犬や猫のことを知る人が一人でも増えること。
保護活動を知る人が増えること。
そして、
「自分にも何かできるかもしれない」
と思う人が増えること。
🐶「よーし!」
かえでは空に向かって叫んだ。
「明日は今日より、一人多く知ってもらおう!」
🐱「いきなり現実的な目標になったにゃ」
🐶「だって、もみじが言ったんじゃん!」
夏の太陽の下。
赤犬と赤猫の挑戦は、まだ始まったばかり。
順位も未来も分からない。
でも、
最初の一票が入った。
最初の「応援してる」が届いた。
それだけで、
二匹には十分すぎるほどの理由ができた。
明日もまた、前に進むための。
――DAY1。
もみじとかえでの長い夏が、
本当に動き出した。