地方創生交付金、使い道は?

【ムチュランファミリー(青森県むつ市)】
◆各自治体知恵絞る
政府が24日に発表した2014年度補正予算の地方創生交付金(総額4200億円)の配分額で、県と県内40市町村には総額約83億円が割り当てられることになった。各自治体の事業も出そろい、むつ市はプロ野球・東京ヤクルトスワローズ、佐井村は家電大手のシャープと連携し、活性化を図る考えだ。
交付金は2種類あり、景気の下支えなどを目的とした「地域消費喚起型」は県内の自治体に総額約48億円、地域の実情に応じた取り組みを支援する「地方創生先行型」は総額約35億円が配分される。
観光客が伸び悩んでいるむつ市は、ヤクルトと連携し、6月に予定される東京・神宮球場の対巨人戦で、大型スクリーンなどを使って大々的に宣伝する。ご当地キャラクター「ムチュランファミリー」も出向き、ヤクルトのマスコット「つば九郎」とパフォーマンスをする計画だ。
佐井村は地元の海産物をPRするため、シャープのオーブンレンジ「ヘルシオ」の購入者に村特産のヒラメのかす漬けなどを割安で販売する。村外から漁師の後継者を迎え入れる「漁師縁組事業」にも取り組む方針で、村総務課は「何とか村の産業を守りたい」として、漁業権を移住者に譲ることも想定している。
板柳町では移住者を増やすため、定年を間近に控えた首都圏在住者を対象にした農業学校「アグリガーデンスクール(仮称)」の設立準備を進める。開校は16年度の予定だ。田子町では、未婚男女の出会いを仲介する「縁結びプランナー(仮称)」を町内で募り、1組成婚につき10万円の報奨金を出す。
各自治体のアイデア勝負となった「地方創生先行型」だが、定住・移住促進策では、若年層への家賃補助や空き家の利活用など、どの自治体も似通った事業が多く、独自色は見えてこない。津軽地方の自治体の担当者は「もう少し、じっくり考える時間がほしかった」と不満を漏らす。
県内の全自治体は政府が提示したメニューに沿って「地域消費喚起型」では、商品券の価格を上回る買い物ができる「プレミアム付き商品券」を発行するが、ある自治体の担当者からは「商品券の効果は一時的なので、本音では発行したくなかった。交付金の使途を2種類に分ける必要があったのか疑問だ」との声も出ている。
2015年3月25日(YOMIURI ONLINE)
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